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選択科目のBeyond NPVの授業に触発されて、Brealey & MyersのCorporate FinanceのOptionの章を読み直してみました。Optionの理論というのは想像していたより広い範囲に適用されるようです。

例を挙げますと、、、

■なぜ債務超過の会社に株価がつくのか?
債務超過というのは、たとえ資産を全て簿価で処分できたとしても負債を満額は返済できない状態です。残余財産に対する株主の権利は債権者に劣後しますので、会計上は債務超超過の会社の株価は0と考えられます。ところが実際は債務超過の会社であっても株価は0円にならないことが普通です。なぜでしょうか?
答えは、負債の返済期日までに会社が立ち直る可能性があるからです。例えば手形の支払期日が明日で、支払うお金が用意できていなければHopelessなので株価は0になるでしょう。これは倒産、つまりゲームオーバーの状態です。しかし、負債の支払期日までまだ猶予があれば、それまでになんとか復活できる可能性があります。これを図で表すと下記のようになります。
option113052006.gif
これはよく見るとCall Optionを買ったのと同じ状態であることが判ります。Call Optionの値段は、下の図のようにOut of the moneyの状態でも0にはなりませんから、債務超過会社であっても株価は0にならないのはオプション理論的に証明されうるわけです。
option213052006.gif
Optionの値段決定の重要要素にTime to maturityとVolatilityがありますが、この債務超過の例ではTime to maturityは負債の支払期日までの時間、Volatilityは企業業績のぶれ幅になります。負債の支払期日までの時間が長ければ、会社が復活できる可能性が増えるし、企業業績のぶれ幅が大きければ一発逆転の可能性が増えるので、Optionと同様にこれらの要素は株価にPositiveに働きます。

ちなみに、債権者は会社の資産に対してPut optionを有していると考えられています。(説明は端折ります)

さて、このようにOption理論にはいろいろな使い道があるのですが、これを実事業の評価に役立てようというのがReal Optionの出発点です。例えば、ある砂漠に1tの金が埋まっているとします。ところが現状では1tの金の値段より採掘コストのほうが高くついてしまうとすると、この金鉱の採掘権は無価値でしょうか?将来的には金の値段が上がるかもしれないし、採掘コストが下がるかもしれません。よって、これもOut of the moneyのCall Optionで、先の債務超過の例と同じパターンです。計算によって合理的な値段を付けることができます。不確実性を嫌う事業家はこの採掘権を売ってお金に換えればいいし、リスクを取って大きな利益を狙いたければこの採掘権を買えばいいわけです。

Real Optionによって、ダウンサイドをカットしたり、段階的意思決定が伴う事業の評価ができたりします。いずれも従来のNPVの理論だけではできなかったことです。

ただ、Real Optionは比較的新しい分野であるため、まだスタンダードが確立していない理論でもあります。様々なアプローチがあるようですが、DCFのような「これをやっておけばOK!」みたいな決定版はまだないようです。

下記の論文がそれらのアプローチのうち代表的なものを評価しています。

Real Options Analysis: Where are the Emperor’s Clothes?(PDFファイル)
Adam Borison, Stanford University
Presented at Real Options Conference, Washington, DC July 2003
http://www.realoptions.org/abstracts/abstracts03.html

Real Option関係の有名な本としては、下記のようなものがあります。
・Real Options: Managerial Flexibility and Strategy in Resource Allocation
Lenos Trigeorgis

・Real Options: Managing Strategic Investment in an Uncertain World
Martha Amram, Nalin Kulatilaka

・Strategic Investment: Real Options and Games
Han T. J. Smit, Lenos Trigeorgis

ただし、Cambridge MBAのBeyond NPVの講師はBrealey & MyersのCorporate Finance(この本の中のOptionの章)を勧めてました。数多のReal Option本よりベーシックで正確らしいです。Financeの教科書なので既に持ってますから助かりますねぇ。

Corporate Finance
Richard A. Brealey Stewart C. Myers Franklin Allen
0071117997
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