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今日のCorporate Governanceの授業より。

ビジネスの世界では「企業は株主のもの」つまり「株主は企業を所有している」という前提が広く信じられていますが、最新のCorporate Governanceの研究はこの前提に疑問を投げかけています。

法律上、少なくともUKの企業法上では、「企業は株主のものである」という議論を完全にサポートする条項はないそうです。そう言われてみれば日本の商法でもそうかもしれません。まず、会社は人格を持つEntityであることは確かです。その上で株主は出資者としての有限責任を担保されています。次に取締役の役割が規定されています。株主は"Residual Owner"や"Residual Claimer"としては規定されていますが、明確に"Owner"であるとはどこにも規定されていません。

"Residual Owner"というのは、債権者や従業員が全て所定のものを持って行った後の残りカスを請求できるに過ぎません。一般に言うところの所有(Ownership)とは全然中身が違うので、「私は車を所有している」と同じ意味で「私は会社を所有している」とは言えません。

また、会社の資産は誰のものかと問われれば、それは会社のものです。株主のものではありません。会社は会社としての人格を持っており、株主が勝手に会社の資産を処分できるわけではありません。

「企業は株主のもの」というのは、Anglo-America的発想が創り出した幻想ではないかという議論もあります。取締役会が株主の委任を受けて会社を統治するというAgent modelを発展解釈し過ぎた結果なのかもしれません。

最新のCorporate Governanceの理論を最も的確に体現する発言としてトヨタの奥田元会長の発言が引用されました。

For the long term sustainability of the corporation, it has to have long-term close relationships not only with employees but also with clients, customers, suppliers and the local community. This means that the interests of various stakeholders need to be taken into consideration by the management of the corporation, which is a public concern. A corporation therefore does not belong solely to the shareholders
Hiroshi Okuda, Toyota Chairman, 2001

ただ個人的には、トヨタは「大政奉還」という不可思議なことをやろうとしている会社ですのでこの分野のモデル企業というにはちょっと心許ない気もします。

さて、Takeawayですが、我々は「企業は株主のもの」というテーゼを深く考えもせず単純に信じ込みすぎたのではないでしょうか。先の奥田発言のような事情も考慮に入れて考えれば「企業は株主のもの」だなんて簡単には言い切れないはずです。「企業は株主のもの」という主張を信じ込んでしまう様は、コペルニクス以前の人々が天動説を信じ切っていたのと似ているような気がします。
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