上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ケム川太郎さん(30歳)は、MBAを卒業して3つの会社からいずれも経理財務の部署で内定を貰いました。

1. 外資系保険会社 年収1500万円
2. IT系ベンチャー企業 年収800万円
3. 国内超大手メーカー 年収600万円

職種は同じだし職場の環境もどの会社も同じくらい魅力的です。したがって、経済条件の一番いい会社に就職したいと考えています。さてケム川さんはどの会社に入社すべきでしょうか?

(大ヒント:これはファイナンスの問題です)
「そんなもん外資系保険会社に決まってるやろ」と思った人はブーです。

正解は、「ちょっと待てよ、給与の将来見通しとリスクを教えてもらえないと答えられねーぜ」です。

というわけで、詳細は下記のとおりです。

1. 外資系保険会社
HQではないので出世の機会が限られているし、業績が急拡大することも考えにくいことから、昇給見込みはそれほど高くないです。年率2%(複利)で給与が上がる見込みです。世界でも大手の保険会社なので倒産リスクは少ないですが、日本でのビジネス基盤はまだ確立されておらず、事業がうまく行かなければ撤退の可能性もあります。したがって、OCCは10%と仮定できます。10%の利回りを持つ投資商品と同程度のリスクがあります。
定年は55歳です。

2. IT系ベンチャー企業
CFOのポジションは空いているので出世のチャンスは大いにあるし、企業も急成長しており将来性があるので、うまく行けば昇給はかなり期待できます。年率10%(複利)で昇給が見込めます。ただし、ベンチャー企業なので事業のリスクも当然高いです。先の外資系保険会社よりやや高い11%のディカウントレートを考慮に入れる必要があります。
定年はありませんが、ハードな仕事なので55歳まで働いたら疲れ果てて引退する羽目になります。

3. 国内超大手メーカー
元々給与のベースは高くない上、社内には生え抜きの幹部候補がいるので出世の道は閉ざされています。年率2%(複利)の昇給になりそうです。ただし、リスクはほとんどありません。会社の社債は日本国債と同じような利回りで取引されており、業績も極めて安定しています。したがって予定の昇給ペースはかなり確実だと考えられます。数値にすると1%のディスカウントレートです。
定年は55歳です。

で、これだけの情報があればこの3社の期待生涯給与(25年間)とその現在価値が求められます。
【生涯給与】
外資系保険会社 4億8045万円
IT系ベンチャー企業 7億8678万円
国内超大手メーカー 1億9218万円

やっぱ昇給率のいいITベンチャーが魅力的ですね。

で、その現在価値。
【現在価値】
外資系保険会社 1億5911万円
IT系ベンチャー企業 1億6198万円
国内超大手メーカー 1億6758万円

ありゃ、メーカーが一番になってしまいました。昔から給料が多少低くても公務員や大手メーカー志向の人はいますが、ファイナンス的にみても正しい志向だと言えるのではないでしょうか。

まあ、実際にはこのファイナンス的方法論には幾つか問題点があります。まずリスクの算出方法が非常に主観的になってしまうこと、次に25年という長期間においては不確実性が多すぎて昇給率の予測は困難なことです。この2つが定まらないと何も計算できません。

で、この不確実性というのはプロジェクトファイナンスやエクイティファイナンスにおいても同じようにあるわけで、結局キャッシュフロー予測やディスカウントレートが不確実であるので、非常に主観的なものになってしまうわけです。

【追記】
あー、給与比較のシミュレーションで税金を考慮するのを忘れてました。まあ手取りの給与(FCF)と考えればいいんですけど。もし額面給与と考えたら、累進課税で給与が上がれば上がるほど勾配がきつくなりますので、税金を考慮したらますますメーカーの価値が高くなりますね。
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://y46.blog10.fc2.com/tb.php/178-9f0a7b2c
| Home |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。