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前回(続:会社は株主のものではない)、前々回(企業は株主のものではない)の続きです。

なぜ「会社は株主のものだ」という誤解が広まるようになったのかとともに、「会社は株主のものだ」という主張がどの程度真実を含んでいるのかを考えてみたいと思います。

まず「会社は株主のものだ」と主張する人は何を根拠にそう言っているのかというと、コーポレートファイナンスの理論がベースになっていると推測できます。恐らく法学、経済学、Organisational Behaviour、コーポレートガバナンスを主に勉強している人は「会社は株主のものだ」とは言わないのではないかと思います。それらの学問では「会社は株主のものだ」という主張をサポートする研究はされていないと思われるからです。
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前回(企業は株主のものではない)の続きです。「会社は株主のもの」だと主張する人は結構多いです。知識人や高名なビジネスパーソンの中にもそういうことを言う人がいます。(例:[木村剛のコラム] 会社はやはり株主のものだ)前回の議論を一歩進めて、今回は「会社は株主のものだ」と断定する言い方は非常に危険だと指摘したいと思います。

「会社は株主のものだ」というのは、全くの事実無根ではないもののかなりの誇張だと思います。たとえて言えば「イチローはホームランバッターだ」というようなものです。もし、誰かが「会社は従業員のものだ」と言えば、それは明らかに嘘か錯誤にあたります。これは「イチローはサッカー選手だ」と言っているようなものなので、「会社は従業員のものだ」と主張している人がいても「ああ、この人はきっと酔っ払ってるんだなあ」で済みます。ところが「会社は株主のものだ」はほんの少しだけ真実を含んでいるので性質が悪いのです。イチローも年に数本から十数本ホームランを打ちますから。
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2006.08.11 | 留学 | 海外情報 | お勉強
論文を書くのに役に立つサイト。

Wikiquate
誰が何を言った情報なんですが、Wikipediaと違って出所が明確に書いてあるので非常に重宝します。

例えばBill Gatesの項はこんな感じ。
http://en.wikiquote.org/wiki/Bill_Gates

つぎ。

Harvard System Of Referencing
このページはすごく判りやすく書いてあるので重宝します。ちなみにCambridge MBAではReferenceの体裁については細かく見ません。(と思います。)MBAはアカデミックな体裁よりも内容重視ですので。ただ、他人の論を自分のもののように書くのはNGです。

ちなみに私の論文は15,000語を突破しました。3,000字オーバー。でもまだ3-4,000は書き足します。
2006.08.08 | 留学 | 海外情報 | お勉強
以前のエントリーで触れたようにソニーとトヨタは日本を代表する企業としてかなりずば抜けた存在なのですが、両社は様々な面で対照的でもあります。特にコーポレートガバナンスに関するスタンスの違いは際立っていて、ソニーがAnglo-American型のガバナンスを積極的に取り入れているのに対して、トヨタは全く伝統的な日本の体制のまま良きガバナンスのプラクティスを築こうとしています。

その違いはコーポレートガバナンス報告書を見ると一目瞭然です。

コーポレートガバナンス報告書(PDF文書)
ソニー / トヨタ

取締役会の構成は、ソニーが委員会設置会社で14名から成る小規模な取締役会、うち10名が社外取締役というSarbanes‐Oxley act準拠の最新型の機構を備えているのに対して、トヨタは監査役制度で、26名と比較的規模の大きな取締役会で、社外取締役が1人もいないという日本的な機構に留まっています。

もちろん両社とも適法なので、どちらが良い悪いということはないのですが、日本代表2トップがここまで対照的だと面白いです。

日本の他の優良企業もこの2社のどちらかをRole modelとしているようで、例えば野村証券や日立なんかはソニー型、キヤノンなんかはトヨタ型を採っています。

さらに面白いのは"1.基本的な考え方"という項目で、ソニーは"当社は、経営の最重要課題の一つとして、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでいます。その一環として、会社法上の「委員会設置会社」を経営の機関設計として採用し、"云々と会社の機構のあり方のついての考えを述べているのに対して、トヨタは"当社は長期的な企業価値の向上を経営の最重要課題としております。その実現のためには、株主の皆様やお客様をはじめ、取引先、地域社会、従業員等の各ステークホルダーと良好な関係を築き、"云々とまず理念ありきの書き方で、しかもかなりはっきりとStakeholder conceptを打ち出しています。

ソニーも日本企業にしては先進的ですが、トヨタのようにAnglo-American型に完全にダメだしを表明しているガバナンス理念はある意味世界で最も先進的なのかもしれません。

ここで奥田さんの名言を引っ張ってみます。

For the long term sustainability of the corporation, it has to have long-term close relationships not only with employees but also with clients, customers, suppliers and the local community. This means that the interests of various stakeholders need to be taken into consideration by the management of the corporation, which is a public concern. A corporation therefore does not belong solely to the shareholders.

Hiroshi Okuda, Toyota Chairman, 2001
うん、魂のこもった素晴らしいStatementですね。

ちなみに私は個人的にはどちらかというとソニー型のガバナンスこそがあるべき姿だと考えています。それでもなおトヨタの魂の前にはひたすら感心してしまうのです。

さらに言うとソニーはトヨタの張富士夫氏を社外取締役に迎えており、両社は対立しているわけではなく、むしろお互いを認め合っているのだとも見てとれます。

【参考】
ソニーIRサイト
トヨタIRサイト
サーベンス・オクスリー法 - @IT情報マネジメント用語事典
Stakeholder concept - Wikipedia, the free encyclopedia
日経ビジネス2006年7月3日号のコーポレートガバナンス特集「正しい社長の叱り方」は全般としては大変読み応えのある内容なのですが、日本電産の事例には少し違和感を覚えました。

日本電産はパワフルな創業社長の永守氏といわゆる大番頭の小部副社長という体制で短期間に国際競争力のある企業にのし上がった会社なのですが、この創業社長と大番頭という体制がガバナンスだと言い切っているのです。松下幸之助と高橋荒太郎、本田宗一郎と藤沢武夫、ラインハルトとキルヒアイス、、、最後のはちょっとあれですが、確かに偉大な経営者と大番頭というコンビは非常に良い仕事をする例が多いです。ともすれば非常識に走りがちな天才肌の経営者を諌めたりなだめたりしながら、社内を切り盛りする大番頭の役割は一見すると理想的なコーポレートガバナンスに見えなくもありません。
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先日選択科目のVenture Capitalが終わりました。講師は700億だか800億円のファンドを運用するシリコンバレーのVCのファウンダーで、授業スタイルはケンブリッジには珍しくClass Participationが評価の50%でCase Discussionのみでした。(この先生は基本的にはスタンフォードで教えていて、ケンブリッジには客員で来てるようです。)

さて、授業の最後に講師が言った言葉が気になっています。要約すると「ベンチャー・キャピタリストのキャリアと起業家のキャリアを混同してはいけない。投資してポートフォリオを管理するのと自分で事業をドライブするのは全く別の仕事なので、全く別のSkill setが必要になってくる」という感じです。

うむむ。

私は結構混同していたりします。かなり確信犯的に。

私は、VCとして価値を創出するベンチャー企業をサポートするのと、ベンチャー企業の中で働いて直接価値を創出するのは基本的には同じことだと思っています。確かにVC→事業家というキャリアパスはあまりないですが、実業家→VCは結構あるのでは?

うーん、どうなんでしょうか。

でも、講師の方は本当に尊敬すべき方で、授業はひたすら勉強になりました。
週末に山本直樹の漫画なんぞ読んでしまったためか、それとも嫌なニュースが続いたためか、このところ気分が沈みがちでした。落ち込んだときは「魔女の宅急便」を見て元気をだすようにしているのですが、昨日改めて見たらキキのお店は経営学的に非常に良くできているということに気付きました。

Entrepreneurship
13歳で起業というのはすごいです。圧巻です。

Strategy
まずResource based viewの観点から、空を飛べるという特技を活かした事業ドメインの選択は秀逸です。さらに、通常の宅急便より高度なサービスを提供していることから、Generic strategyでいうところのUpward differentiation戦略を採っている思われます。しかも、もう少しでBlue Oceanと言える領域に達するかもしれません。13歳でポーターも真っ青な戦略眼、恐るべし。

Marketing
Co-brandingという非常に高度なBrand building戦略を採っています。IntelがIntel Insideキャンペーンでやったあれです。これは戦略的なポジショニングがものを言うのですが、おそのさんのパン屋に対して戦略上の有利なポジションを築き、それを利用してブランディングするとは、とても13歳とは思えません。

Long term sustainability + Love mark
孫にパイを届けようとしたお婆さんが、オーブンが動かないので仕方なくお金だけを渡そうとしたとき、薪のオーブンを使って一緒にパイを焼くことを提案しています。目先の利益ではなく継続的な利益の追求をしっかり考えた理想的な行動だと思います。これによって顧客満足度を上げてリピートの獲得に成功すれば、長期的に見れば、ただお金だけを貰うより儲かるわけです。更に、最後にこのお婆さんから少し多めのお代を貰うことに成功しました。Love mark戦略によって顧客のWillingness to payのレベルを上げることに成功したわけです。

Ethics
ただ、最後に苦言を挙げるとすれば、鳥篭と猫のぬいぐるみを届けた際に、ぬいぐるみを紛失したことを顧客に正直に開示しなかったことには疑問符がつきます。顧客との長期の関係を築くためには透明性の確保が重要です。これは今後の課題でしょうか。

いずれにしてもキキってすごい。


魔女の宅急便
高山みなみ 佐久間レイ 信沢三恵子
B00005J4ST
「巨人ファンは良いベンチャー・キャピタリストになれない」
「サッカー好きは立派な起業家になれない」
という自分が考えた暴論を私は40%くらい信じています。(40%というセコイ信念ですが)

実は私はサッカーは嫌いではなくてむしろ好きなのですが、私の中のアントレ魂がサッカーを手放しで賞賛させてくれません。ついつい「サッカーなんて所詮ワーキング・クラスの下品なスポーツで、ラグビーの方が上品で洗練されている」と言いたくなってしまうのです。自分の中ではサッカーもラグビーも同じくらい好きなのにも関わらずです。

また、私はジャイアンツが嫌いではありません。いい選手は過去にも現在にもいっぱいいるし。私はドラゴンズファンですが、原辰徳は絶対宇野や大島より立派な4番だと思います。でもやはり私の中のアントレ魂がジャイアンツや原を賞賛させてくれません。

何が問題なのかというと価値が正しく認識されてないと思うからです。ラグビーもサッカーも同じくらい素晴らしいスポーツなのに、ドラゴンズもジャイアンツも同じくらい魅力的なチームなのに、一方がやたらとOvervlueされて持て囃され、一方がやたらとUndervalueされているのが居心地が悪い気がするわけです。

起業家やベンチャー・キャピタリストというのは既成のパワーに対抗しようという気概からスタートすると思います。そういう「今に見てろよ」的な根性というのは、普段の生活の趣味趣向、特にスポーツの好みにも表れるのではないか、というのが「サッカー好きは立派な起業家になれない」説の立脚点です。

クラスメイトの根っからのアントレ野郎であるイギリス人(南アフリカ人でもある)のJは、スポーツ万能ですがサッカーやクリケットが嫌いで、フリスビーとかマウンテンバイクとかクライミングとかマイナーなスポーツばっかりやってます。先日のパブナイトで「サッカー好きは立派な起業家になれない」説を彼に話したら賛同してくれました。

もし、起業家/VCとそれ以外の一般の人に、好きなスポーツ/贔屓のスポーツチームをアンケートした調査があれば見てみたいところです。
選択科目Emerging Technology Entrepreneurshipが熱いです。この授業では先端技術をどう評価していくかというテーマで、評価のフレームワークやプロセスを学びます。コース終了時の課題は、バイオやナノテクなどCambridge大学で実際に研究されているプロジェクトに関して、実際の研究者にインタビューしつつその技術の評価をプレゼンするというものです。まさにCambridgeの強みを存分に活かしたCambridgeならではコースと言えます。

ご存知のとおりCambridge大学は総合大学ではありますが、特に理系学問において世界的に優れた研究成果を残しています。(こんなこと言うと文系の人に怒られそうですが。。)大学の周辺は研究者のスピンアウトによるベンチャー企業が集積しており、ヨーロッパ最大のハイテククラスターと言われています。

大学の研究成果のビジネス化については学内の様々な部門がサポートしています。生物学部や遺伝工学部などの先端技術の学部はもちろんですが、サポート役として下記のような機関があります。

Cambridge Enterprise
大学の技術のライセシングや知的財産の管理・評価、産業化への様々なサポートを行う。

The Centre for Entrepreneurial Learning
Entrepreneurship教育を中心にニュービジネスの発展をサポートする。

The Centre for Entrepreneurial LearningはJudge Business School内の組織であり、Judge Business Schoolも当然のことながらハイテク産業のサポートに関して中心的な役割を担っています。


さて、、、問題は授業の内容が結構難しいことです。技術の評価にはNPVのようなファイナンス屋がこしらえた欠陥ありありの手法は使いません。技術の本質を理解して評価するという王道がまずありきです。これは相当難しい。。。

ちなみにHigh-techにはインターネットは入りません。インターネットは今やCommodityであり、Disruptive Technologyが生まれるとは考えにくいからです。

教科書は特にないのですが、下記の本がReading listのトップに来てます。

New Venture Creation: Entrepreneurship for the 21st Century with PowerWeb and New Business Mentor CD
Jeffry A. Timmons Stephen Spinelli
0071232729
選択科目のMergers and Acquisitionsが今日で最後でした。最終日はDaimler-Chryslerのケースを元に、チームに分かれて合併交渉のシミュレーションをしました。

[使用したケース]
Chrysler Corporation: Negotiations Between Daimler And Chrysler (v. 2.2)
Daimler-Benz A.G.: Negotiations Between Daimler and Chrysler


このケースは本当に良くできていて、Daimler-Chryslerの実際の企業評価の膨大なエクセルシートがついており、非常に参考になります。こういうのは一財産といっても過言ではありません。

更に、Chrysler側とDaimler側で設定数値がかなり違うのがミソで、交渉が難航するようにうまくできています。

例えば同じくDCF-WACCでTerminal valueにEBITDA倍率を使ったChryslerのValuationでも、Chrysler側の想定では$64 per share、Daimler側の想定では$39 per shareとでたりします。売上の成長率などの想定が全く違うためです。また、同じChrysler側のValuationでも、DCF-WACCでTerminal valueにEBITDA倍率を使ったものとConstant Growthを使ったものでは全然違う値段になるし、DCF-WACCとDCF-Adjusted Present Valueでも結構金額に開きが出てきます。ここまでくるとDCFというのはValuation手法として致命的な欠陥があると認めざるを得ないと思います。

授業では生徒がChrysler側とDaimler側の経営陣の役割を演じて大激論を交わしたのですが、それをモニターしていた講師が激論中の珍発言をメモしていて最後に迷言集として見せてくれました。以下に覚えているものを紹介します。

"Let's assume that growth rate is 12%."
珍発言度:wwwww
"Let's assume..."というのが何とも言えない味を出しています。

"What is the growth rate that makes our valuation $75 per share?"
珍発言度:www
おいおい。。

"What textbook are you guys using!?"
"Brealey and Myers!"

珍発言度:wwwww
お互いのValuationがあまりにも違うので、イライラして言った質問。

"The only thing we haven't agreed with is valuation."
珍発言度:ww
最後に私の発言も拾ってくれました。あんまり「珍」ではないですが。

この授業は、戦略、規制、企業評価、企業文化、Post-merger、会計など、およそM&Aに関連することは全てカバーした非常に秀逸な選択科目でしたが、最後に非常にInsightfulなコマがあって更に素晴らしかったです。
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